前回は、取引や証明に使用する「はかり」は、「検定」や「検査」を受けなければ引き続き使用できないことが「計量法」で定められているとお話ししましたね。

今回は、その「はかり」の「定期検査」制度について深堀してみました。

 

世の中で使われている計量器は、計量法で次のとおりの有効期間が定められています。

オートチェッカ等の自動はかり※1(一般事業所:有効期間2年・適正計量管理事業所※2:有効期間6年)

ガソリンスタンドの給油メーター(有効期間7)

タクシーメーター(有効期間1年)

家庭のガスメーター(有効期間10年)

水道メーター(有効期間8年)

電気メーター(有効期間10)

などのようにこれらの計量器は、一様な使われ方であるため経年変化による性能劣化も予想できることから、検定時に有効期間を定めることができます。

 

しかし、一般的な「はかり」の場合は、様々な現場で取引や証明に使用されているため、その使用環境の違いによって性能等の劣化具合が大きく異なり、使用状態が一様ではないことから検定時に有効期間を定めることが認められていません。

 

では、日常の性能の維持は、どのように行われるかというと、計量法では使用者に2年に1度の公的機関等が行う検査の受検を義務付ける「特定計量器定期検査制度」を定めて性能の維持を図っています。

 

また、「定期検査」は、次の地方自治体や指定定期検査機関、計量士を検査の実施主体者と定め、使用中の「はかり」の性能を確認し、適正な「はかり」には合格シールを貼ることで識別し、不適正な「はかり」の使用を防いでいます。

 

皆さんは、お近くの商店等で計量販売に使用しているはかりを見て、お住まいの自治体等が行った定期検査の合格シール(デザインは検査実施主体ごとに異なります)が貼られていることを知っていましたか?

 

〈定期検査実施機関等〉

① 北海道知事(次の特定市以外の市町村区域の検査を担当) → 北海道計量検定所(札幌)及び旭川、函館、釧路、北見の各支所

特定市長3(特定市区域の検査を担当) → 札幌、旭川、小樽、函館、釧路、帯広、苫小牧、室蘭の各市の計量検査所又は所管部署

指定定期検査機関(計量士や検査設備を有し知事に認められた区域の定期検査を担当) → 道内では(一社)北海道計量協会(能力が1t以上の大型はかりに限定)が指定された機関です。

計量士※4(北海道内で定期検査に代わる検査を行える計量士は、8月末現在29名で、北海道知事又は特定市長に実施区域や検査設備の届出が必要。)

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/krk/teikikensa/R2keiryousi.pdf


定期検査代検査シール

 取引・証明のための計量とは、どのような行為なのかについては計量法(第2条第2項)で次のように定義されています。
 1 「取引」とは、有償・無償であるかを問わず、物または役務の給付を目的とする業務(反復継続的に業として行うこと)上の行為。
 2 「証明」とは、公にまたは業務上他人に一定の事実について真実であるということを表明する行為。

  具体例を下表にまとめてみましたのでご確認ください。

 取引証明
 

1 自動はかりとは、計量結果を得るのに、人間の関与を必要としない質量計のことで、オートチェッカ、組合せはかり、ホッパースケール、コンベアスケールがそれにあたります。

これらは、平成29年の計量法の政省令改正により新たに検定が必要なものとして検定対象に追加されたものです。

2 正計量管理事業所とは、事業所内に計量士を配置し計量器の定期的な検査や自主的な計量管理が可能であることを都道府県知事に申請し、知事が可能であると判断された事業所のことです。

3 特定市とは、計量法で指定された定期検査が実施可能な地方自治体で、道内では、札幌市、旭川市、釧路市、帯広市、小樽市、函館市、苫小牧市及び室蘭市の8市です。

4 計量士とは、経済産業大臣が、計量器の検査その他の計量管理を的確に行うために必要な知識経験を有する者として登録したものです。

 

次回は、2017年(平成29年)の計量法の政省令改正によって新たに検定対象機種に追加された「自動はかり」について深堀します。

読者の皆様からのご意見をいただければ幸いです。


R2.9

 

 


 

今回のおまけ 「換気の悪い密閉空間」の改善基準についてのお話

 

新型コロナウイルスとの闘いが長期化している中、国が示した「新しい生活様式」の北海道内での実践に向けた「新北海道スタイル」に基づく「事業者の取り組むべき7つのポイント+1」が道庁から発信されています。

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kks/newhokkaidostyle.htm

 

この宣言に含まれる、商業施設等において推奨される換気の方法が厚生労働省でまとめられています。

 それによりますと、換気機能のない冷暖房設備を使っている商業施設等は、コロナウイルス感染症のリスク要因の一つである「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気と、熱中症予防を両立するため、次のとおり基準を定め、満たされていない場合、換気設備の清掃、整備等の維持管理を適切に行うこととされています。

     

ビル管理法における空気環境の調整に関する基準(抜粋)

基準

この基準の中で、人が多く集まることで変化の激しいのが二酸化炭素の含有量で、新型コロナ禍においての換気の目安とするためにも、見えない二酸化炭素の濃度を計る計量器があれば、あらゆるオフィスで換気の充分な室内環境の維持することは難しくありません。

コロナウイルス感染症対策のためCO濃度測定で室内環境を見える化

そこで、弊社では、とても扱いやすい簡易型の二酸化炭素濃度計を扱っております。

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(参考)CO2濃度が変化すると人はどうなる?
CO2